■Q&A項目
Q 1 農業従事者への労災保険の適用について
Q 2 軽トラック点検・整備中の災害について
Q 3 急な斜面での作業中の災害について
Q 4 集荷作業中や、出荷・販売中の災害について
Q 5 ライスセンターでの作業中の事故について
Q 6 特定農作業従事者、指定農業機械作業従事者の通勤災害について
Q 7 雇用労働者が作業現場に出勤する前の事業主の農作業事故について
Q 8 中小事業主等で加入している事業主の時間外労働について
Q 9 加入時の健康診断について
Q10 集落営農集団について
農業従事者への労災保険の適用について
私は個人で農業経営を営んでおり、特定農作業従事者として労災保険特別加入していますが、最近になって労働者を雇用するようになりました。労働者が5人未満の場合は、労災保険に加入しなくてよいのですか。
労働者:常時5人以上 | 労働者:常時5人未満 | |
---|---|---|
法人の事業 | 強制加入 | 強制加入 |
個人の事業 | 強制加入 | 原則として任意加入※ |
※任意加入の事業場でも労働者の過半数が希望する場合や事業主が特別加入する場合は強制加入となります。
ご質問のケースでは、事業主が特定農作業従事者として特別加入しているため、労働者を一人でも雇った時点で労災保険に加入しなければなりません。また、事業主が指定農業機械作業従事者として特別加入している場合でも同様となります。
軽トラック点検・整備中の災害について
私は、農業者で特定農作業従事者として、労災保険に特別加入しています。毎日自宅から畑まで軽トラックで往復しているのですが、先日軽トラックが故障し、点検・整備を行っている最中に誤って負傷してしまいました。この場合、労災保険の給付を受けることができるでしょうか。
なお、私は軽トラックで収穫した野菜や資材を運搬しています。
農作業場で行う耕作等の作業のため、自宅から作業場までの間、軽トラックを使って農産物や農業に使う資材などを運ぶ行為は、動力により駆動される機械を使用して行う土地の耕作などの作業に直接付帯する行為に当たります。また、上記作業に伴う軽トラックの点検・修理についても、農業者によって日常行う程度のものであれば、土地と耕作などの作業に直接付帯する行為に当たりますので、業務災害として労災保険による給付を受けることができます。
急な斜面での作業中の災害について
私はミカン畑で働く農業者で、特定農作業従事者として特別加入していますが、勾配が40〜45度くらいになっている段のある畑で、下の段から2メートル以上の場所で作業を行っているとき転落して負傷してしまいました。このような場合にも労災保険による給付を受けることができるでしょうか。
このみかん畑は、勾配が40度以上の急な斜面であり、高さが2メートル以上の箇所で作業していることから、この負傷は業務災害として労災保険による給付を受けることができます。
集荷作業中や、出荷・販売中の災害について
私は農業者で特定農作業従事者として特別加入していますが、集荷した野菜を農協の集荷施設までトラックで運搬している最中に事故を起こし負傷してしまいました。この場合、労災保険による給付を受けられるでしょうか。また、農産物を市場等までトラック等出荷する出荷作業、出荷した農産物を出荷先で販売する販売作業といった作業中の災害の場合には、労災保険の適用はどうなるのでしょうか。
農産物を協同集荷施設までトラックなどで運ぶ作業の場合は集荷作業となり、植物の栽培等に直接付帯する行為にあたることから、業務災害として労災保険による給付を受けることができます。
また、平成30年4月1日以降に発生した災害については、箱詰めされるなどすでに商品化された農産物を出荷施設まで運ぶ「出荷作業」や、出荷作業後に行われる「販売作業」についても集荷作業同様、植物の栽培等に直接付帯する行為に当たるものとして扱い、それらの作業中の災害については、業務災害として労災保険による給付を受けることができるようになりました。
例えば、出荷のために直売所へ向かい、出荷を行った者がそのまま直売所で販売を行い、農作業場へ戻るという一連の行為は直接付帯するっこういに該当します。なお、この取り扱いは指定農業機械作業従事者が指定農業機械を用いて当該行為を行う場合についても同様となります。
ライスセンターでの作業中の事故について
私は特定農作業従事者として特別加入していますが、ライスセンターで収穫した米を乾燥させている作業中に負傷してしまいました。この場合でも、労災保険による給付は受けられるでしょうか。
米を刈り取ったもみのままでは通常出荷せず、乾燥などの作業が必要です。この場合の乾燥は天日によるものだけではなく、機械による場合でも同様に考えられ、収穫した米をライスセンターで乾燥させる作業は、植物の栽培等の作業に含まれることになります。したがって、ライスセンターは農作業場に当たりますので、動力により駆動される機械を使用して作業中に被災した場合には、業務災害として労災保険による給付を受けることができます。
特定農作業従事者、指定農業機械作業従事者の通勤災害について
特定農作業従事者や指定農業機械作業従事者の場合、通勤災害について労災保険の適用がないと聞きましたが、自宅の車庫から軽トラックを農作業場まで運転中に負傷した場合にも、労災保険の適用がないのですか。
特定農作業従事者や指定農業機械作業従事者にういては、通勤災害の適用はありませんが自宅と農作業場との間をトラックなどの運搬機械を用いて往復している場合には、業務災害として保護されます。
特定農作業従事者については、農産物や農作業のための資材などを運ぶために自宅の車庫から農作業場まで軽トラックを運転する行為は、耕作などの作業に直接付帯する行為にあたるため、通勤災害ではなく、業務災害として労災保険による給付を受けることができます。また、指定農業機械作業従事者についても、軽トラックに乗って自宅の車庫から農作業場まで向かう途中に被災した場合には、業務災害として労災保険による給付を受けることができます。
雇用労働者が作業現場に出勤する前の事業主の農作業事故について
「中小事業主等」に加入していますが、労働者が作業現場に出勤する前の早朝5時に事業主が草刈りをするなど、その日の農作業の段取りをしていた場合の事故は、業務災害として労災保険による給付を受けることができますか。
補償の対象となるか否かはケースバイケースです。労働者を伴ってともに作業をしていたときの事故の場合は、労災補償お対象となる可能性は大きいと考えられます。
@ 例えば、届け出た就労時間が8時から17時までの場合に、朝10分前の段取り作業中の事 故は認められる可能性は高くなることが考えられます。
A 労働者を伴って、事業主がどうしても朝5時に段取り作業が必要な場合は、厳密な検査を受 けて適否が決まるものと考えられます。
B 労災適用が認定されなかった場合は、60日以内に労働者災害補償審査官に対し「不服の申 し立て」の手続きを行うことで、その処分の取り消し、変更を求めることができます。
中小事業主等で加入している事業主の時間外労働について
「中小事業主等」に加入している事業主が農作業の段取りを組むため早朝や夕刻の時間外労働中の事故は、業務災害として労災保険による給付を受けることができますか。
労働者を伴っての作業中のみが労災補償の対象となります。それ以外は届け出た労働時間のみが補償の対象となるだけです。
基本的には、事業主の時間外労働は、労働者の業務上の災害を補償している労災保険にはなじみません。中小事業主は労働者と同じように危険にさらされて労働していることから特別加入が認められている関係からみても無理があるように考えられます。基本的には事業主の時間外労働は労災が適用されないものと考えられます。
加入時の健康診断について
労災保険の特別加入申請時に健康診断が必要な場合があると聞きましたが、どのような時に必要となりますか。
特別加入の前に特定業務に一定期間従事し、特別加入後もその業務を行う場合は、健康診断が必要になります。
例えば、振動工具(草刈機等)を使用する業務に通算1年以上従事し、特別加入後も同じように振動工具を使用する業務に従事する場合が該当します。
集落営農集団について
私はみかん栽培農家であり、高さ2メートル以上の高所で作業をしています。先日、集落営農組織に所属しましたが、個人としては経営耕地面積は1ヘクタール、年間の農業生産物の総販売額が200万円しかありません。この場合、特別加入することができるのでしょうか。
個々の農家の規模が小さくても、所属している集落営農集団において、農業生産総販売額が300万円以上または経営耕地面積2ヘクタール以上であれば、各構成員も規模の要件を満たすものとして特別加入することができます。
〒770-0011
徳島市北佐古一番町5番12号
(徳島県農業会議事務局内)
TEL 088-678-5611
FAX 088-678-5664