農業者が労災保険に特別加入することができるのは、以下の(1)〜(3)の範囲です。なお、(1)〜(3)は重複して加入することができませんので、どれか一つを選択することになります。
特定農作業従事者とは、次の@〜Bの全てに該当する人をいいます。
@「年間の農業生産物(畜産及び養蚕に係るものを含み)の総販売額が300万円以上」または「経営耕地面積が2ha以上」の規模((この基準を満たす地域営農集団などを含む)を有している。
A土地の耕作・開墾、植物の栽培・採取、家畜(家禽及び蜜蜂を含む)・解雇の飼育の作業のいずれかを行う農業者(労働者以外の家族従事者などを含む)である。
B次のアからオまでのいずれかの作業に従事する。
指定農業機械作業従事者とは、農業者(労働者以外の家族従事者などを含む)であって、次の機械を使用し、土地の耕作、開墾または植物の栽培、採取の作業を行う人をいいます
。指定農業機械を使用する15歳以上の男女、兼業農家でも学生でも機械を使う人なら誰でも加入できます。
@動力耕運機その他の農業用トラクター |
F次の定置式機械または携帯式機械
・動力揚水機 ・動力草刈り機
・動力カッター ・動力摘採機
・動力脱穀機 ・動力剪定機
・動力剪枝機 ・チェンソー
・単軌条式運搬機 ・コンベヤー |
A動力溝掘機 |
B自走式田植機 |
C自走式スピードスプレイヤー、その他の 自走防除用機械 |
D自走式動力刈取機、コンバインその他の 自走式収穫用機械 |
Eトラックその他の自走式運搬用機械 |
G無人ヘリコプター
(農薬、肥料、種子もしくは融雪剤の散布または
調査に用いるものに限る) |
中小事業主等とは、農業の場合には
常時300人以下の労働者を使用する事業主(事業主が法人の場合はその代表者)及び労働者以外でその事業に従事する人(特別加入ができる事業主の家族従事者など)をいいます。
なお、労働者を通年雇用しない場合であっても、
1年間に100日以上、労働者を使用することが見込まれる場合を含みます。
写真:徳島県農業法人協会HPより転載
○給付基礎日額と日額変更
給付基礎日額とは、特別加入者の保険料や休業(補償)給付などの給付額を算定する基礎となるもので、申請に基づいて徳島労働局長が決定します。
特別加入者の給付基礎日額の選択に当たっては、
平成30年10月以降の最低賃金制度が8時間労働で日額
6,128円となることから、特別加入者の所得水準に見合った給付基礎日額を選択して下さい。この場合、選択した給付基礎日額が低い場合は、保険料は安くなりますが、その分休業(補償)給付などの給付額も少なくなりますので、ご留意のうえ適性な額を申請してください。
給付基礎日額を変更したい場合は、年度末の3月2日〜3月31日の間に、「給付基礎日額変更申請」を徳島労働局長に対して提出することによって、翌年度より変更できます。
また、労働保険の年度更新期間中にも当年度に適用される給付基礎日額の変更が可能です。ただし、業務災害発生前に申請することが前提になります。給付基礎日額の変更申請前に業務災害が発生している場合は、当年度の給付基礎日額の変更は認められませんので留意する必要があります。
給付基礎日額・保険料一覧表
○保険料の算出
労災保険料はかけすて制で、4月〜3月までの1年間の一括払いです。年度途中でも加入できますが、その場合の労災保険料は月割り制となります。保険料は月単位で計算しますので、月初め
に加入しても月末に加入しても、加入した当該月分の保険料は同じで1ヶ月分は必要です。
また、特別加入から脱退した場合も同様で、月初めに脱退しても月末に脱退しても、脱退した当該月分の保険料は必要です。この場合、任意脱退した日の属する月の翌月以降の保険料は、年度末までに還付します。
年間保険料=給付基礎日額×365×保険料率
※保険料料率
特定農作業従事者・・・・・・0.9%
指定農業機械作業従事者・・・0.3%
中小事業主等・・・・・・・・1.3%
※年間保険料算出例(特定農作業従事者で、給付基礎日額10,000円で加入)
10,000円×365×0.009=32,800円(年間保険料) 月額 2,733円
※雇用労働者がいる場合の雇用労働者分の労災保険料の算出
年間保険料=賃金総額(見込額)×保険料率(1.3%)
○労災保険料率の改訂
労災保険料を算出する際に用いられる「労災保険料率」は事業の種類によって異なり、それぞれの業種の過去3年間の災害発生状況などを考慮し、
原則3年ごとに改定されることになっています。