「来年息子が結婚します。孫が生まれたら、一緒にトラクターに乗って、あやしながら仕事をするのが、将来の密かな楽しみなんです」と笑顔で語るのは、今年7月の改選で藍住町農業委員会の農業委員となった安崎三代子さん。三代子さんは、藍住町の「あんちゃんふぁーむ」の代表で就農30年目。現在12㌶の農地でニンジンやイタリア野菜等を栽培する専業農家だ。
夫の浩二さんは、藍住町新作物研究会の会長を務め、三代子さんとともに、「町の特産物であるニンジンだけに頼らない」をモットーに新たな作物作りに取り組んでいる。
例えば、子供が食べられる野菜をコンセプトにした苦くない「こどもピーマン」等のユニークな野菜を栽培し、関西市場や、県内レストランに卸している。
「今でこそ夫婦で色んな野菜を育てていますが、就農当時は大変でした。3.5㌶の農地でレンコンとニンジンの栽培は全て手作業で行っていましたから」と当時の苦労を振り返る。
三代子さんは、今後の農業経営発展には機械化が必要と、町外の市場へ2級品のレンコンを卸し、少しずつお金を貯めて機械を増やしていったという。そんな過去の体験から、若い農業者達の力になりたいと考え、5年前に指導農業士の資格を取得した。
現在、毎年、県外の大学生3人の研修受入を行い農業の担い手の育成に力を注いでいる。
「若手の育成は、現場に活気をもたらします。そして将来、彼らが農業経営開始し、農業就業人口が増えれば、耕作放棄地の解消にもつながっていくと思います。私達を支えてくれた農業に少しでも奉仕し、恩返しをしていけたら」と熱意を語った。
農業人口が減少する昨今で、若き農業者を教育し、支援する体制は不可欠だ。今後も指導者として、存分にその力をふるって頂きたい。
女性農業委員インタビュー