「私は仕立屋の町人の家系だったので、お嫁に行くまで農業をしたことがありませんでした。そのため就農当初は、農作業の道具一つ分かりませんでした。農業に関することを学び、知識を深めていくことが、本当に楽しかったです」と語るのは、阿波市農業委員(1期目)の土井君江さん。
土井さんは、夫が建設会社を営んでいる兼業農家で、水稲を1㌶、レタスを65㌃栽培しています。農作業は基本的に君枝さん1人で行い、レタスの繁忙期には、出荷に合わせて早朝2時から作業に取りかかることもあるそうです。
熱心な農業への取り組みとその人柄で、2年前から、JA板野郡阿波支店(土成支所)の女性部長として、農産品の付加価値を高めるため、商品の製造・販売を行うほか、料理教室も開催しています。「年齢層は60歳代以上で気安いメンバーが揃っています。今の時期は、焼き肉のタレをつくっており、1瓶750円。けっこう評判なんですよ」とカラリと笑いながら話してくれました。そんな土井さんの悩みは地域の耕作放棄地の増加です。土成地区は兼業農家が多くて、離農される方も多いようで、昨年に実施した初めての農地パトロールで、地域農業の現状を知り、担い手に集積する重要性を感じたそうです。阿波市外の大規模農家が農地を借りにくることもあり、積極的に斡旋したいと語っていました。また、徳島県農業委員会女性協議会で実施する後継者対策活動に興味があり、積極的に参加したいと語ってくれました。
「最近は、農業に興味をもたない女性が多いですが、私は農業ほど楽しい仕事はないと思っています。すればするほど見返りもあるし、苦しいことの中に収穫の喜びがあります。少しでも興味を持って貰えるよう農業の魅力を発信できるようにしていていきたい」と笑顔で語ってくれました。
女性農業委員インタビュー